2018-09-01から1ヶ月間の記事一覧

言葉をわかることは永遠にない

『蛇にピアス』を読んだ。前に読んだのがたしか中三で、その時が最初だった。全く良さがわからなかったのは、この作品が纏う、設定や主題といった分厚い殻を、突き破ることができなかったから。パンクや身体改造といったわかりやすい“退廃”に対してすごくシ…

天国と、とてつもない暇に

手づくりのご飯に似つかわしい人間らしさが、自分にあるのか、わからなくなるときがある。優しくありたいだとか、思慮深くありたいだとか、そういった希望を持てば持つほど、学校や職場は、息苦しい。そこで作られる人どうしの関係性が、必ずしも無機質で非…

芸術と目

秘境よりなにより、数回訪れた友人の家の、未だ閉ざされた空間の方が、よほどこの世界の神秘に迫っている感じがする。寝室だとかキッチンの奥の倉庫だとか、そういった場所がまだよう知らぬ目の前の人の命を、司っているということ。それを思うだけで、ドキ…

恋愛グロッキー

生きている体にとって集中力なんてものは存在せず、ただ空洞の中を様々な色や景色や感情が通り抜けていくだけで、それでもある時、ああ自分には地を踏みしめる足が付いているんだなあと思い知らされる瞬間を、恋、と呼ぶのかもしれないと思った。 「寝ても覚…

暗闇の方を向くことについて

ちゃんとしたあらすじのある日記のようなものを書こうとしているんだけど、やっぱりうまくいかない。言葉に意味を持たせることが苦手、とまでは言わないけれど、意味だけが先に脳内で結晶化してしまうと、不思議と言葉が出てこない。いや、出てくるには来る…

切り身 切り身 切り身 切り身 切り身 切り身 切り身 切り身

感情がどこかへ飛んでいってしまって、もう帰ってきそうもないな、というとき、大抵は、正しさ、みたいなものに、汚されているんじゃないかと思います。怒りや悲しみといったものは、純度100%でいられない。目の前の出来事にちゃんと反応して、その度に何か…

ハンカチは持っていかないし街はいずれ廃墟になる

誰から見ても美しい言葉って、書いていてほんとにつまらない。粘土を塗って、角を削って、固めて整形しているみたい。ドロドロのまんまでありたいよ。内容ではなく、時間でありたい。勢いだけがただ持続して、構造なんて何もなく、読む人がそこを突き抜ける…

大学生

海外旅行に行ったってそこには街があるだけ、日本となにも変わらないよ。僕はその場所を、景色を、時間を消費するだけだ。染み付いた孤独は運命すらも、ただのガラクタに変えていく。心に感傷を縫い付けては、どこへ歩いていくというの。本や映画から引きず…

ビジネス書の序章から抜粋したみたいな架空の小文

情報や物資が世に溢れるに連れ、抽象概念の抽象性は具体物を取り込んでいく。例えば「カレー」といえば特に戦後すぐなんかはハウス食品とかが出してる「ライスカレー」だったはずだが、その後数多のカレーフーズが出現し、ベン図の円はどんどん増えていった…